Yシール:油圧・空気圧システムのコアシール要素

Yシール

Yシールは、その特徴的なY字型断面により、流体動力システムにおいて極めて重要な役割を果たします。この構造設計により、特定の動作条件における機能性と信頼性のバランスが保たれます。

I. 構造特性
主な設計上の特徴:

  1. シングルリップシール: 一次シールリップが合わせ面に接触する
  2. 補強されたヒール: 厚いベースが押し出しに抵抗します
  3. 圧力方向: シールリップは加圧媒体に面する
  4. ねじれ防止リブ: 短いガイドバンドが安定性を向上

II. パフォーマンス上の利点
構造上の利点:

  1. 圧力活性化: 予圧により初期シールが確保され、システム圧力によりリップが駆動される
  2. 低摩擦: 最小限の接触面積で動的抵抗を低減
  3. 圧力範囲: 0~40MPaで有効なシール(15MPaを超える場合はバックアップリングが必要)
  4. 回転抵抗: ヒール形状により唇の反転を防止
  5. 設置の容易さ: モノリシック設計により組み立てが簡単

III. 比較分析

タイプ 利点 制限事項 代表的な用途
Yシール 低摩擦/回転抵抗 高圧でのバックアップが必要 油圧シリンダーロッド
Oリング 低コスト/静的シール スパイラルになりやすい 静的/低速シール
複合シール 高圧能力 複雑な設置 射出成形機
スプリング式シール 極度の温度耐性 高コスト 航空宇宙/化学処理

IV. 材料選択ガイド

  1. ニトリル(NBR)​
    • 特性: 鉱物油/水耐性、-35°C~100°C
    • 用途: 産業用油圧、空気圧システム
  2. ポリウレタン(TPU)​
    • 特性: 耐摩耗性/耐押し出し性、-40°C~80°C
    • 用途: 建設機械、汚染された環境
  3. フッ素カーボン(FKM)​
    • 特性: 燃料/化学薬品耐性、200°C連続
    • 用途: エンジン、化学処理装置
  4. 水素化ニトリル(HNBR)​
    • 特性: 広い温度範囲 (-40°C ~ 150°C) / オゾン耐性
    • 用途: 自動車用ステアリングシステム、高温油圧

V. 選考方法
Yシールは、中圧の動的用途において最適なコストパフォーマンスを実現します。主な考慮事項:

  • 材料の適合性(NBR/TPUは産業ニーズの90%をカバー)
  • 圧力/速度パラメータ(TPU推奨 >15m/s)
  • 溝設計基準(リップ圧縮比12%~18%)

投稿日時: 2025年8月2日